次のようなブログ記事があった。
海老澤澄夫の個人ブログ: レコメンドはプライバシーを侵害するか? 高木浩光氏への異論
その中には「レコメンドには個人の特定が必要?」とあって、
「個の特定」は必要だが、「個人の特定」は不要と述べられている。
それはそれで合っていると思うし、例えば、通販サイトでショッピングカートに
商品Aを入れたら、「商品BやCもいかがですか」と出てくるのは「個の特定」で
可能なレコメンドだと思う。
ただ、「通販サイトのどのページで、何を買ったのか」というのは個人情報であり、
特定の個人に紐付く情報だ。
田中一郎さんが商品Aを購入したら、田中一郎さんを特定する個人情報に加え、
この情報と容易に照合することができる情報である「商品Aを購入」という情報も
個人情報として扱わなければならない。
(そうでないと入金処理や商品の発送処理ができない。)
仮にこれに「ランダムに生成された文字列など個を特定できる情報」を
紐付けたとしても、この情報も個人情報に含まれてしまう。
(一時的な会員番号のようなものとみなせてしまう。)
で、田中一郎さんが次にそのサイトを訪れた時、商品Aを購入しているので
「商品BやCもいかがですか」とレコメンドしようとした場合、「商品Aを購入」という
*個人情報*を参照してしまっているのでは?ということなのだと思う。
これは図書の貸出履歴でも同じで、通販の購入処理や図書の貸出処理は
レコメンドに使用する情報を個人情報として取得してしまっている。
個人情報中の情報を利用しているのに個人を特定していないとは言えないだろう。
(実際に氏名等の個人を特定する直接的な情報を参照していなくても)
「個の特定」だけでレコメンドできる場合と、図らずも「個人の特定」をしてしまう場合が
あるということだと思う。