武雄市長のブログにこんな記事が投稿されている。
そこに、
僕が言っているのは、「5月6日20時40分、42歳の市内在住の男性が、「深夜特急」「下町ロケット」「善の研究」」を借りた。」ということそのものについては、個人が特定できないし、仮にこれが外部に出ても法令に照らし、全く問題がない、これが僕の見解であり、図書館の貸出履歴は、これをもとに、個人情報に当たらないって言っているんです。
と書かれているのだが、そもそも本の貸し出しの際に必要とされる情報は、
誰が何の本をいつ借りたか(誰に何の本をいつ貸し出したか)
という特定の個人に関する「個人情報」であり、これを取得するわけだから、
個人情報保護法の第15条にあるように利用目的を定め、第18条にあるように
利用目的の通知を行わなければならない。
上記のように個人が特定できないように情報を加工したとしても、その点は変わらない。
CCC が図書館業務以外のマーケティング等に利用する場合、その利用目的について
通知・公表する必要があるし、そもそも、そのような利用を認めるのかという問題がある。
そして、Ustream の録画では、図書カードとしてTカードを利用する(Tカードに切り替える)という。
Tカードの利用=T会員となる
という前提で、T会員規約に沿って図書館が運営されると仮定して、次のように解釈した。
1) T会員規約 第2条から
第1項(2) には
「過去に本規約違反などにより強制退会させられていることが判明した場合」
「過去にサービスの利用料金等の支払い債務の履行を遅延し、または支払いを
拒絶したことがある場合」
など、T会員と認めない場合があるとなっている。
これらに該当する武雄市民は図書館の利用ができない可能性がある。
これは、「図書館の自由に関する宣言」の
すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。
に反する。
2) T会員規約 第4条から
第1項には、「共同利用者」と「個人情報項目を共同して利用させていただきます。」
とあり、「共同利用者」とは「ポイントプログラム参加企業(TSUTAYA加盟店を
含みます)」となっているので、図書館の運営を行うCCC以外の企業へ個人情報が
提供されうる。
これは、「図書館の自由に関する宣言」の
第3 図書館は利用者の秘密を守る
1. 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
に反する。
ここでは、仮定をもって「図書館の自由に関する宣言」に反すると結論づけた。
ブログの記事には、こうもある。
僕はね、一言も法令を無視するとも「図書館の自由に関する宣言」を無視するとも言っていないんですね。
そして、
こういった法令などをきちんと踏まえた上で、安心かつ安全な情報管理を行うようにCCCと武雄市の間でしっかり協議しながら制度設計を図っていきます。
なので、Tカード・T会員規約とは違った制度設計・規約策定を行っていく、という表明だと
理解しようと思う。