本当にそれでいくの?

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ニュース - 「共同利用」から「第三者提供」に、CCCがT会員規約を大幅改訂へ:ITpro
という記事があった。

T会員規約改訂のお知らせ(2014年11月1日)|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
T会員規約の解説(2014年11月1日)|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

去年も規約改訂があって、その時もこんな風に見てみたので、今回もT会員規約改訂の解説ページから「改訂前後比較表」(PDF)を見てみた。

まず、第1条の1項に括弧書きが加えられ、今までは「ポイントプログラム参加企業」とだけ言ってきたものを「TSUTAYA店舗、ポイントプログラム参加企業等T会員向けサービスを提供する企業」を「提携先」と言うように変えてきた。ポイントサービスに関わらず「T会員向けサービス」であれば「提携先」として扱われるようになりそう。

次に目についたのは、第4条 (個人情報について) の 1.個人情報のお取り扱い の部分。「第三者提供します」という点と「オプトアウトを用意します」という点を明確にしてきた。

第4条の 2.個人情報の項目 は大きく変わっていないのだけれど、電子マネー関連を扱うようになる/なったのか、クレジットカード情報を取得するようになっている。
気になったのは、最後に追加されたこれ。

(15) その他個人情報保護法を遵守した上で、当社が適切に取得する個人情報

いや、取得・保有する個人情報の項目なんだから具体的にしなきゃダメだろうに。何でもかんでも「適切に取得」したものはこの項目に該当してしまう。

第4条の 3.利用目的 も同じようなものが。

(7)その他上記各利用目的に準ずるか、これらに密接に関連する目的のため

(1)〜(6)に準ずるって何? それは(1)〜(6)には含まれない何かなの?

そして、今回の改訂でもっとも大きく変わった点。
今までは、保有している個人情報を「共同利用」する規約となっていた。

4.個人情報の共同利用、共同利用者の範囲および管理責任者
 当社は、以下に掲げる共同利用者と、本条第3項記載の各利用目的により本条第2項記載の個人情報を共同して利用いたします。

 ・当社の連結対象会社および持分法適用会社
 ・ポイントプログラム参加企業

 但し、ポイントプログラム参加企業は、本条第3項の利用目的(1)または(5)においてのみ、個人情報を共同して利用いたします。

今回の変更で、「第三者提供」という形に変わる。
この「第三者提供」という形に変えるに際して、なにやら面白いことになっていて、

第4条の第4項に「4.提携先から当社に対して提供される個人情報について」と言うのが追加されている。

会員が、提携先において、T会員として指定IDを入力し、または、Tカードを提示(会員の申告によるTカード番号の提示を含みます。以下同じです)した場合、当該会員は、当該提携先から当社に対して以下に記載される個人情報が提供されることについて、当該提携先に対して同意したものとさせていただきます。

これは、CCCが取得する会員の個人情報を「提携先」からの第三者提供とするということになるのだけれど、現状、提携先はCCCに渡す個人情報の取得に際して提携先自身のポリシーを提示していないケースがある。(ENEOSではそんなもの提示された覚えがない。)
つまり、規約改訂後は各提携先がCCCに渡す個人情報の取得項目(内容)と利用目的(もちろんCCCへの第三者提供が含まれる)を明示しておかないといけなくなる。
明示だけならまだいいが、個人情報の取得主体となるので、CCCへの第三者提供しかしないとしても、取得した個人情報の管理をする必要があるし、取得に関連する何らかのトラブルがあれば、CCCではなく提携先が対応しなければならなくなる。
CCCに渡す以外に提携先が自社向けに個人情報を取得するということが可能になると考えればメリットがないわけではないが、それなら自社でポイント管理した方が安く付くのでは?とも思ってしまう。(必要な分析だけを委託すればいいだけじゃんね。)

そしてメインディッシュ。
第4条の第5項「5.当社から第三者に対して提供される個人情報について」。
「共同利用」から実態に即した「第三者提供」になるということで、よいと思う。
一点だけ、

(2)「第三者に提供される個人情報の項目」について
第三者に提供される個人情報の項目は、本条第2項に定める各個人情報の項目のうち、本条第3項に記載する利用目的の達成に必要な範囲とします。

とあるので、おそらく、取得・保有しているすべての個人情報は第三者提供される可能性があるよ、ということなのだろう。

(追記)
書き忘れたので。
5月か6月頃に「『個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン』の改正案に対する意見公募について」というパブリックコメント募集をしていて一応コメントしたのだけれど、この改正案の一つに共同利用の規定の厳格化があって、おそらく、CCCのやっている共同利用はこの規定から外れてしまうことによる今回の規約変更なのだろうと思われる。
(追記終わり)

さて、Yahoo!JAPAN との連携の件もさることながら、CCCには「Tカードでの武雄市図書館利用に関する規約」の第3条「(1)図書館利用者情報のCCC・TPJへの提供とCCC・TPJによる利用」にある

CCCは、「T会員規約」第4条の定めにかかわらず、Tカードを提示して利用された会員の情報のうち、ID紐付会員に対しポイントを付与するために、個人を特定しない利用情報(Tカード番号、利用年月日、利用時刻、ポイント数)に限り、これを取得します。

の「個人を特定しない利用情報(Tカード番号、」の規約改訂後の見解を聞いてみたいものだ。

(8/24追記)
「カルチュア・コンビニエンス・クラブのT会員規約改訂」の予告掲載について - ヤフー株式会社
ポイントは

同特約に記載のとおり、お客様の情報は、CCC説明図に関わらず、CCCから「提携先」等の第三者には提供されません。

かな?

(参考)
CCC利用規約変更について (2014.08.14) - Togetterまとめ
Tポイントの会員規約改訂に高木先生が所見 - Togetterまとめ